映画『ツリー・オブ・ライフ』

 この宇宙はなぜ存在し、この星になぜ生命は生まれ、ここにこうして私は存在しているのか、という哲学的な問いかけと、ブラッド・ピット一家の家族の物語がもうひとつしっくり来ていないように感じた。いや、超越者を求める形而上的な思いと、形而下的な日常の生活というのは、いつもかみ合わないものなのかも知れないが。

 『バベル』も『ベンジャミン・バトン』も見ていないのだけれど、今回、ブラッド・ピットの演技を初めてすごいと思った。
 それにしても、アメリカにおける父と息子の問題って根深いですね。日本人の私にはよく分からないところもある。

 この映画がYahoo!等のレヴューで散々こき下ろされているのを見て、少々悲しくなった。そもそもカンヌのグランプリって、こういう作品多いでしょ?
 ブラッド・ピットショーン・ペンが出ているし、CMも盛んに打っていたから、分かり易いハリウッド大作だと誤解されても致し方ないのだろうとは思う(自分もそう思ってた)。この作品にとっては不幸なことだが。
 でも、いくつかのレヴューを読んでいて、そこまでひどくはないだろうとも思った。

 しっかし、「セリフが少ない」と怒っている人がいるのには笑った。セリフが少ないとダメなのか? 見てもいないのにレヴューを書いている人もいた。見もせず批評ができるのか? そもそもレヴューじゃないだろう、それ。

 たまには、人の心の微かな揺れを静かに追っていく映画を見るのも、良くないですか?