映画『あしたのパスタはアルデンテ』

 “トンマーゾはローマで小説を書いている作家志望の青年。実家は南イタリアの美しい街レッチェにある老舗パスタ会社。彼の頭を悩ませているのは、家族に内緒の3つの秘密。一つは、家族には経営学部と偽って文学部を卒業したこと。二つ目は、家業を継ぐ意思が無く、小説家になりたいこと。そして三つ目は更に言えない最大の秘密。
 果たして、トンマーゾの未来は? 老舗パスタ会社の将来は? そして、一家に再び平和な日々は訪れるのだろうか?”(シネスイッチ銀座のHPより)

 ローマで作家志望の青年が家族に言えない秘密って、アレだろうと思ったら、まさにその通り。街を歩く小綺麗な男はみんな○○と言われるイタリアでさえ、保守的なところではこんなに保守的なのかとちょっと驚きました。

 主人公トンマーゾの家族はみな、一見優等生に見えるお兄さんでさえ、それぞれに問題を抱えて生きていますが、映画はそれを善悪、白黒つけることなく描いていきます。
 それはそのまま、この一家を見守るおばあさんの視線で、彼女の存在感が素晴らしい。遡れば、彼女自身の意に添わない結婚で始まったとも言えるこの家族の物語は、また彼女の決断で大団円を迎えます。
 ラストは一応はハッピーエンドなのですが、切なさも入り交じって、何とも言えない良いシーンでした。